愛してるからこそ手放す恋もある
「とっくに忘れてるよ」
「じゃ、なぜ結婚しない?お前ならいくらでも女は寄ってくるだろ?」
ああ、女は嫌と言うほど寄って来るし、ボブも、早く結婚しろと事ある毎に、令嬢だモデルだと紹介してくれるが、俺が全く興味を示さないことで、
『コージ ゲイナノカ?』と疑われる有り様だ。
「子供は可愛いぞ?疲れて帰っても子供の顔を見るだけで癒されて疲れも取れる。勿論、愛する奥さんが居ての事だがな」
耀一は5年前に結婚して、なかなか子供に恵まれなかったが、去年男の子が産まれたとメールで写真を送って来た。
「そんなものかね?」
「お前も結婚するば分かるよ!それより、本社はなんと言ってるんだ?」
「俺に任せるとさ!どちらにしても猶予は2年ってとこだな?」
「じゃ大丈夫だな?」
「さぁどうかな?取り敢えず見てから考えるよ」
「まぁよろしく頼むよ?」
社の方には俺が来る事は伝えていない。
ただ一週間後、本社から誰かが視察に来る事だけ連絡が行っている。