愛してるからこそ手放す恋もある
「お疲れ様でした。このまま社へ向かわれますか?」
私はアメリカ本社から帰るボスを迎えに空港に来ていた。
「いや、マンションに帰る」
「え?」
いつもなら、留守の間のたまった仕事の事が心配で、自宅へ帰る前に必ず社へ顔を出すのに今日はどうしたのだろう?
「ボスの決裁待ちが幾つか有りますが?」
「明日で駄目か?」
そんなに疲れているのだろうか…
もしかして…
最近は添い寝する回数は減っていた。
だから、もう、悪夢は見なくなったのかと思っていた。
また、眠れてなかったの…
「いえ、大丈夫です…」
タクシー運転手に行き先の変更を告げ、マンションへ帰ってきた。