愛してるからこそ手放す恋もある
「なぜ拒むな!」
「お願い…脱がさないで…」
「なぜ!なぜいつも拒む!」
いつも私の我が儘を聞いてくれるのに
どうして今日は許してくれないの?
なぜ、そんなに怒るの?
「お願い…お願い…」
私は何度も懇願した。
あなたには知られたくないの…
欠陥品だと知られたくない
だから…
「梨華…なぜ泣く…そんなに嫌か?」
「ごめんなさい…このままで…お願いします。…このまま抱いて下さい…」
「俺が抱いても良いのか…」
悲愴な顔の彼の頬に手を当てる。
「はい。ボスに…あなたに抱いて欲しい…」
すると、彼は激しく私の奥深くへと突き上げた。まるで怒りをぶつける様に、でも心は泣いてる様に見える。
事が終わった後抱きしめてくれる彼は震えていた。
「梨華…ごめん…ごめんな…大丈夫か?」
「大丈夫ですよ…でも話して欲しいです。あなたがなにに怒り、怯えているのか?」
「………」
「偽装の婚約者には、あなたの心のうちは見せれませんか?」
自分で言っていて自分が苦しくなる。
私自身が見せていないのに…
「梨華は…祐司と付き合ってるのか?」
??…
「祐司は妻子を愛してるぞ?それでも梨華は良いのか?」
「ちょ、ちょっと待って!」
「不倫なんて誰も幸せになれない。由美との子供はどうする?」
「だから待ってって!!私は菱野専務とそんな関係じゃないです!さっきも言いましたけど、私は誰も裏切りません!勿論、由美さんもです!」
「え?」
「え?じゃないです!どうしたらそういう考えになるんですか?ボスは馬鹿なんですか!?」
「俺が馬鹿?」
「そうですよ!馬鹿じゃなかったらそんな考え思いつかないでしょ!」
「じゃなんで祐司を部屋に入れた!?」
「はぁ?いつ専務がここに来たんですか!?」
「俺が本社へ行ってる間に部屋に上げただろ!?」
え?
ボスが本社に行ってる間…?