愛してるからこそ手放す恋もある

「それって…菱野専務にデーターを送って貰った時の事ですか?」

「あぁ、そうだ!」

「だってあれは…仕方なかった事じゃないですか?私が名古屋支社に行ってたから、送れなくて…専務にお願いしたわけで…」

「俺は今日始めて梨華の部屋に入った!あいつこの部屋の鍵持ってるのかよ!?」

「えー…それで機嫌が悪かったの?」

「悪いかよ!?」

「ぷっ…ボスって意外と可愛いとこも有るんですね?拗ねたりして…」

「笑うな!祐司の関係を言えよ!」

「関係もなにも、ボスも知っての通り、以前の上司と部下の関係ですよ!鍵に関しては、この部屋は元々会社名義ですから、菱野専務が、合鍵を持っていても不思議じゃないと思いますけど?それに、今回は、極秘資料で、私の部屋とボスの部屋に入れる人が他に居なかったからです」

「他に何かお聞きになりたい事は?」

「…もう良い…寝る!」

まるで子供の様に拗ねるボスが可愛いと言ったら怒られるだろうか…
でも、これがヤキモチだったら…
あり得ない話だろうけど…

おやすみなさい…

私の胸に顔を埋めて寝る小野田さんの頭をそっと撫でる。
母親の様に…
近い将来訪れるその日まで…
いつか…
あなたが、再び人を愛せますように…
いつか
本当に愛してる人の胸で眠れる日がきますように…




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