私を救ってくれたのは君でした。
生きると言うこと
「私なんか、生きててもなんにも残らない」

「そんなこと、ない…！」

「ないわけない！」

「は？鶴谷くん、変なこと言わないで。私は生きてて本当に良かったなんてこと、思ったことないわ」

「ある、絶対にあるさ。もしなければ、俺が作ってやる。生き物は、なんで生まれるか教えてやるよ」

「そんなの……」

「なにかの目的を持って、生まれてくるんだ。牛とか魚は、人間に食われるために産まれてくる。せみは、夏の訪れを知らせるために産まれてくる。みんな、なにかしらの目的を持って生まれてくる。これは必然なんだよ、目的を持たないで生まれてくる生き物はいない」

「……」

「俺は、お前に生きることを教えるために生まれてきたんだ」

「！」

「生き物は、生きなくてはいけないから」

「鶴谷くん……」

「生き物は、文字通り、生きている者を指す。生き物は生きていなければならないんだ」

「………」
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