私を救ってくれたのは君でした。
「あの時は毎年花見に来てたわ、そこまで金持ちではないけれど、それでも楽しかった。けど、お父さんの務めていた会社が倒産して、それからはお父さん立ち直れなくってずっと家でお酒飲んでたわ。お母さんもそれが周りにバレないように、ものを無理して買っていたら、いつの間にかお金を借りていたわ。それでヤクザは来るわ、家賃を払えと言われてね、おまけに、お父さんはストレスが溜まっていったのか、お母さんにDVしていくようになった。それだけで済むと思ったのに、お父さんは逃げていったわ。」

「逃げた?」

「お父さんは借金返済が出来なくて家を出ていったの。それでお母さんひとりで借金返済するハメになったわ、無理矢理ね。
どうやってあんな大金を返済したと思う?」

未だに思い出しても涙が止まらない。
止まることはない。

「体を売ったのよ……!!最後まで、何度も何度もやらされたそうよ。それでも全然返済は終わらないの。お母さんは家に帰ってくると死んだように寝ていたわ。体は日に日にボロボロになって痩せ細っていったわ。それでもお母さんは続けた、どうなろうとも、続けたわ」

なんで語っているんだろう。
同情でも求めているのかな、私。誰を同情してくれないことって、わかっているのに。

「それでも、まだまだ返済は続いた。とうとうお母さんは病気になったわ。それで余計に借金したわ。それで家にはヤクザが住み着くようになった。その時、ヤクザの目に止めたのが、私だった。私はその時ちょうど中学二年生、思春期真っ只中。
つまり、おじさん達が喜ぶ体付きをしている時期なの、とても敏感な時らしいわ。それで私はこう言われた。『お母さんのようなお仕事をしないか?君の場合一回ごとにつき、お母さんの十倍はするよ』って言われたのよ?!ヤクザ達は私に触ってきた。『それが嫌だったらおじさんの相手一回してくれたら全部チャラにする』って」

「!」
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