私を救ってくれたのは君でした。
「お母さんのためならって、やったわ。ヤクザの相手をしたわよ!いやいやねやったわ、もし全部返済すれば、お母さんは喜ぶと思って……!お母さんの病気も治ると思って……!汚かったわ、吐きそうになった、痛くて、血も出た、最後までやらされたわ。でも、それで全然チャラにしてもらえた。それで、お母さんの病気も治ったわ。それで、ハッピーエンドかと思ったわ。
けど違った、終わったらお母さんはその借金していた頃していたお仕事が楽しかったらしく、毎回毎回、違う男の人を連れてきたわ。それで、翌朝まで部屋でしてたわ。それは今もなおってない。学校でいじめられてる理由もそれ。今は私なんて娘なんて思われてないわ。お母さんがたまに帰ってくる日はひとりでお酒飲んでるか男の人つれてきてる。仕事は前のまま、体を売ってるわ」

「泣いてるぞ、天宮」

「ご、ごめん。見苦しいよね、ごめん、こんな話しちゃって」

「いや、いいんだ。話してくれてありがとな」

「きっとね、あの時、小学六年生の春から、私の中の時計は、止まっているんだ」

「俺が動かしてやる、その時も、全部、ぜーんぶ!」

「ふふっ、ありがとう、鶴谷くん」

「あ……」

「え?どうかした?」

「笑った…!天宮が笑った!」

「な、なにそれ!」

「良かった、天宮が笑ってくれた」

「私だって笑うのよ?」

「そうだったな。やっぱり女ってのは笑ってるのが一番だぜ」

「!……そっか」

「なんか、天宮に近づけた気がする」

「わ、私も!」

「あ、そうだ……!」

「どしたの?」
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