私を救ってくれたのは君でした。
そう、交番というのはもちろん柏木さんのいる交番。

「あれ、雪希ちゃん。どうしたの?」

柏木さんは帽子を外してなにかを書いていた。

「あの、落し物があったので」

「そっか、ありがとうね雪希ちゃん」

柏木さんは私の頭を優しく撫でた。私はそれが気持ちよくて安らぎを感じる。

「それで?隣の彼は?」

柏木さんは鶴谷くんのことをじっとみつめる。

「もしかして彼氏?」

「ち、違いますって!」

私は頭をブンブンと横に振る。

「名前は?」

柏木さんは続けてきいてくる。

「鶴谷廉」

「へぇ、廉くんかぁ。よろしくね」

「・・・」

「あれ、雪希ちゃん。この人がさっき話してた人?」

「あ、はい」

天宮?さっきってなんだよ。こいつとさっきあったのか?嘘だろ?なぁ、嘘だよな?こんなイケメンと友達だなんてきいてねぇ。
あれ、なに言ってんだよ俺。
なんでこんな自殺志願者が取られただけで妬いてんだよ俺。妬いてねぇよな、俺、こんなやつに。

「へぇ、そうなんだ」

柏木さんはまじまじと鶴谷くんのことをみつめる。

「じゃあね雪希ちゃん、廉くん」

「はい、ではまた」
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