私を救ってくれたのは君でした。
初めてだった、本気で私を止めてくれた人は。鶴谷くんは、空返事なんかじゃなくて、本当に助けに来てくれた。本当に私のことをみて心配をしてくれた。それが嬉しくて仕方がなかったから、私は自殺をやめたんだから。

私の腕には、リストカットが何本か入っている。リストカットは、心の叫びだとか、一生癒えない傷とも言われている。そうなのかもしれない。浅いと言ったら嘘になる、けど深いと言っても嘘になる。
私は、心のどこかで死ぬのを怖がっているのかもしれない。だから、あの時も屋上から飛び降りれなかったんだ。
それに、前に新しい出来ることをみつければ生きることが楽しくなる、という広告が流れてきたことがあった。あの時、私は真面目に新しいことを始めようとしたことがあった。
今も、その希望は捨てていない。我ながらアホらしい。
私は死にたがっているはずなのに、死ねないでいる。それは事実だった。


チリリッチリリッ

私はいやいやベットから起きた。そしてパンを頬張る。そして昼食を作り終えると制服に着替える。
学校には行きたくない、けど行かないと母に心配をかける。それだけはしたくないのだ。
そして支度が終わると家を出た。
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