私を救ってくれたのは君でした。
「それでね、私のリストカットした手首に、包帯を巻いてくれた。最初は怖かったわ。けどね、いつも来てくれるのよ、柏木さん。そのうちに、話すようになったの。それで、退院するってなった時、柏木さんが見送りに来てくれたの。『退院おめでとう。俺、駅前の交番にいるから、もしなにかあったらいつでよ来てね』って。それで、私はきいたの。名前、教えてくださいって。そしたら、答えてくれた。『俺は、柏木裕樹。雪希ちゃん、またね』って」

「あっそ。柏木とはそういう経緯で知り合ったのか」

「うん」

「ありがとな」

「別に……」
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