私を救ってくれたのは君でした。
「どうですか、ね。でも、感じます。鶴谷くんは今言った通り、馬鹿正直で、アホで、なにも考えないで進んでるし、女子のことなんて全然考えてないし、馬鹿力だしさ、けど、その力には悪意がなくて、一番言ったことは絶対曲げないし、女心なんてわかったもんじゃない、それに助けてくれるし、まっすぐで、いつも私に手を差し伸べてくれて……。まだ出会って少しだけど、わかるよ、鶴谷くんは今までの人とは違うって、教えてくれた。」

「鶴谷さんは、俺の憧れです」

「そうなんだ」

「はい。雪希ちゃん、急に叫んでごめんね」

「大丈夫です」

「あの、もうひとついい?」

「いいですよ」

「雪希ちゃん、鶴谷さんの病気のこと、知ってるか?」

「……はい、知ってます。いつ死ぬか、わからないって、病名不明なんですよね」

「あぁ。ここの組でそのことを詳しく知っているのは、鶴谷さんと俺だけ」

「そうなんですか」

「おん。最初きいた時は、なんであなたなんだ、なんで鶴谷さんなんだって思った。ほかの罪深き悪人をこういう病気にしろって。そう思ったさ」

「わかります」

「なんで、あんなにいい人がってね。あ、ごめんな雪希ちゃん、君といると、全て話してしまいそうで怖いよ」

川鷺さんはそう言い残すと、みんなの方へいった。

「なんで…鶴谷くんが……。生きたがっている人を殺さないで……!私が…この病気にかかっていれば…ハッピーエンドだったのに、な……」
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