私を救ってくれたのは君でした。
「天宮!話は終わったか?」

「うん、終わったよ」

「じゃあ帰るか。もう日も落ちてきてるしよ」

「うん」

私は鶴谷くんの後をついていった。
鶴谷くんと一緒なのは駅まで。そこからはバラバラ。もうすぐ、駅についちゃうな。
『まだ駅に、着きたくないよ……』
心がそう叫んだ。少し胸がキュウッとしまる。でも、今日の思い出を振り返ると、笑いがこみ上げてくるような気がした。

「今日はありがとう、鶴谷くん」

「じゃあな、天宮」

互いに名字で読みあってる私達。鶴谷くんのこと、廉、って呼んじゃダメかな?なんでだろう、今日で鶴谷くんを見る目が変わった気がする、気の所為だろうか。
私は、ドボドボを夜道を歩く。街灯が私を照らす。なぜか、ステージのスポットライトを浴びているような気分になった。これほど、今日この一日は充実していたのだろう。
ひとりなのに、ステップしたくなる。大人気ないけど、笑ってしまう。いつの間にか鼻歌を歌っていた。

ブーッブーッブーッ

メールの着信音が、私を現実に引き戻した。
誰からだろう。私はあまり友達がいないからメールが来るなんて滅多にない。
もしかして……!
期待を込めて私はメールを開いた。

『どうも、柏木だよ。遅くなってごめんね、今日は残業が入っちゃってさ……。
雪希ちゃん、お茶する件なんだけど、いつ空いてるかな?』
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