私を救ってくれたのは君でした。
私は、鶴谷くんのことをぎゅっと抱きしめた。心音が伝わってくる。

ドクンッドクンッドクンッ

鶴谷くんの心音、安心するな。温かくて、安心するよ。


おい天宮……胸当たってんぞ。

「え、なにか言った?」

「なんでもねぇよ」


「ありがとう」

「別に…じゃあな天宮」

今日は、お母さんが帰ってくる。家のドアに手をかけた。入りたくない……入りたくないよ。

「鶴谷くん!」

私はその場で叫んだ。

「行かないで……!」

「えっ……いいけど」

私は鶴谷くんの方を向いた。

「今日は、ね、例のお母さんが帰ってくる日なの」

「まじかよ……」

鶴谷くんは驚愕した表情を浮かべる。

「怖いの」

「お母さんがか……」

「うん、あいたくない」
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