私を救ってくれたのは君でした。
「……はい」

「これで親権は剥奪されました。雪希ちゃんの親権はまた後日話しましょう」

私は安心したのか気が抜けたのか、その場に倒れてしまった。
その後、お母さんの逮捕は私が起きてからとのことになり、お母さんももう暴れることはなかった。
そしてお母さんは親権剥奪のためのサインをして、私の親権は実のお母さんではなくなった。

「柏木…さん」

起きたら柏木さんの顔があった。眉を下げて私のことをみている。

「雪希ちゃん、大丈夫?」

「はい…」

ソファには手錠をかけられたお母さんとお母さんを見張っている警察官の人。

「あんたと、離れられて私は幸せよ。これで清々するわ」

ふと口を開いたお母さんから出た一言だった。

「お母さん、いつもありがとう。夕飯、美味しかったよ。やっぱり、お母さんのカレーは一級品だなぁ」

なぜか涙が出てくる。

「私は、本当にお母さんがあなたでよかった。いつも叱ってくれてありがとう、いつも正してくれてありがとう」

「あぁ、うるさいうるさい!最後にそんな言葉ききたくないわ!」

「……ママ!」

「!」

お母さんは、驚愕しきった顔をした。
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