私を救ってくれたのは君でした。
お兄ちゃん
あいつ、天宮にハグしてんのか?

「離れろよ、天宮から……」

心の奥底から嫌悪や独占欲が溢れ出てきた。
だめだ、こんなこと考えちゃいけない。天宮は俺のモノじゃねぇんだ。でも……あいつは気に食わねぇ。柏木だけは近づいて欲しくない。
いつの間にか拳に力が入っていた。


「じゃあ、帰ろっか」

「はい」

「もう夕飯は食べた?」

「はい、食べました」

「天宮……」

私の前に突然鶴谷くんが現れた。

「あれ、廉くんじゃないか」

「なに攫ってこうとしてんだよ」

「ははっ、違うよ鶴谷くん。雪希ちゃんの親権が俺に渡っただけ。だから俺の家に行くの」

「ふざけんなよ、そんなの誰が了承するか!」

「いや、もう決定したことだよ」

「天宮、こんなんでいいのか?!」

「……うん」

「じゃあね廉くん」

「バイバイ」

鶴谷くんは後ろを向いて帰っていってしまった。そしてまた私達は歩き出した。
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