副社長は花嫁教育にご執心
そ、そんな覚悟まで……!?
灯也さんの気持ちはありがたいしすごく嬉しいけど、自分のせいで彼の人生を左右してしまうとなっては、私だって平気ではいられない。
「灯也さん、縁を切るなんてそんなこと……!」
軽々しく口にしないで欲しい。両親に会いたくても会えない境遇の私はついそう思い、隣に座る灯也さんの腕をつかんだけれど。
「……なるほど。言うようになったな、灯也」
「ま、合格ね」
テーブルの向こうのご両親が、にやりと意味深に微笑んだ。
え……どういうこと?
「まさか、俺を試したのか?」
不快感をあらわにして、灯也さんがご両親をにらむ。しかし、二人とも動じることはなく、お父様が真意を語り出す。
「悪く思うな。俺たちが言ったようなことは、嫌でも今後お前たちにぶつけられるだろう。そんなとき、灯也がまつりさんを守れる覚悟があるのか、どうしても確かめたくてな」
「ごめんなさいねまつりさん。自分たちが同じような経験をしたものだから、ついお節介をしちゃった」