副社長は花嫁教育にご執心
「お前の夫は、俺だ」
灯也さんに顎をつかまれ、無理やりに上を向かされる。
こんなにも乱暴なことをするなんて、いつもの灯也さんではない。でも、彼をそうさせてしまっているのは、私。
事情があったとはいえ、佐助に弱気なところを見せてしまったから、あんなことに……。
「もちろん……わかって、ます」
「嘘つけよ。わかってたら、他の男に触れさせたりしないだろ。なぁ、まつり……家に男連れ込んで、何してた」
灯也さんが、私の体を上から下まで眺めた。シャワーですっかり濡れた衣服が、素肌を透けさせている。
そして灯也さんの視線が止まったのは、お風呂上がりで下着をつけていない私の胸だ。
「こういう無防備な姿、晒したわけじゃないよな?」
大きな手が、Tシャツ越しのふくらみを包んだ。
びくっと身体が跳ねたのは、初めてのことに対する不安や恐怖からなのだと灯也さんだってわかっていると思う。
なのに、彼はその事実から目を逸らして、私をなんとかその気にしようと、深いキスを仕掛けてくる。
いつもの灯也さんなら、“焦らなくていい”って。私の心の準備がととのうを待ってくれていたのに……。