副社長は花嫁教育にご執心
シャワーの雨と、ねっとり絡みついてくるような大人のキスに、呼吸が追いつかなくて溺れたような感覚に陥る。
灯也さんのキスはやっぱり私の体を熱くするし、灯也さんの手に触れられた肌は、今まで知らなかった、蕩けそうな甘い感覚に襲われる。
でも……今の、苛立ちのかたまりみたいな獰猛な彼にこの先のことまで許してしまうのは、どうしても躊躇われた。
そして、ウエストを下へ辿ったいった手にやがて下着の中を探られると、とうとう私は泣き出してしまう。
「や、めて……っ……と、やさ、ん……」
私の口から洩れる嗚咽に気付いた灯也さんが、ぴたりと動きを止めて初めて私の顔をきちんと見つめる。
その瞳に浮かんでいた怒りや興奮は徐々に落ち着き、やがて灯也さんは理性を取り戻してくれた。
「まつり……俺……」
「灯也さん……いやです、こんなの……」
私だって、初めての相手はあなたがいい。
でも、こんなわけのわからないまま、お互いの気持ちが交わらないままでは、いやなの。
私があなたを信じて、あなたも私のことを心から信じられるようになったその時に、ちゃんとしたいの。