副社長は花嫁教育にご執心
「くすぐったい?」
「いえ、あの、……なんて言えばいいのか」
“くすぐったい”に似てはいるけれど、止めてほしくはない。
そして、もっと触られたらどうなっちゃうのって不安な気持ちもあるけど、その先へ行きたい気持ちはそれ以上だ。
言葉を探しあぐねてただ潤んだ瞳を向けた先で、灯也さんは少し意地悪な笑みをのぞかせた。
「そういうの、“気持ちいい”って言うんだよ」
言いながら、ウエストのラインをなぞられる。それだけで、甘い吐息が漏れる。
「これが……?」
「そう。で、そういうときは正直に声を出してくれたらうれしい」
「き、気持ちいです、って言うんですか?」
私としては何も変なことを聞いたつもりないのに、灯也さんがぷっと吹き出した。
「ばか。つーかホント何も知らないんだな。言えるものなら言ってみな。たぶん、言葉にならないから」
「言葉にならないって、どういう――ひぁっ!」
ニットの中を這っていた手が、ブラのカップをずらして胸の先端に触れる。
思わず声を漏らした私に、彼は楽しげに瞳を輝かせ「それだよ」と教えた。
その後も、戸惑いながらも彼の愛撫を受けてたくさんのことを教え込まれた。
自分の弱点をひとつひとつ暴かれていくのはとても恥ずかしかったけれど、相手が灯也さんなら、すべてをさらけ出しても大丈夫だと思えた。