副社長は花嫁教育にご執心
「もちろん、俺だってあんなもの記事にされて黙っているわけじゃない。会社の信用問題にもなるし、弁護士を立てて、全面的に戦うつもりだ。……でも、それで世間のイメージが覆るかと言ったら、そうはならないと思うんだ。まつりを傷つけてしまうことは、避けられない。俺には、それが何より辛いんだ」
掠れた声で、切なそうに言う灯也さん。
私のためを思って言ってくれている……それはわかるけど、だからって、彼の言い分を丸のみすることなんて、できないよ。
「だから、離婚するって言うんですか……?」
「……それしか方法がないんだ」
「嘘です。灯也さんは私を裏切ってなんかいない。だったら、胸を張っていればいいんですよ」
「それでも、マスコミや、世間の連中は騒ぎ立てるに決まってる」
「私、そんなの平気で――」
「俺が平気じゃないんだよ……!」
突如、声を荒げて私の言葉を遮った灯也さん。私はびくっと肩を震わせ、潤んだ瞳で彼を見つめた。
私のためとはいえ、どうしてそんなにかたくなに離婚を促すのか。彼は伏し目がちにその理由を語った。