副社長は花嫁教育にご執心
胸の内で彼に語り掛けながら、優しいキスの感触にうっとり浸る。
しかし、途中からどうも灯也さんの様子がおかしくなって……というか、なんだか、急に積極的に……?
「ん、ふぁ、……と、灯也、さん?」
徐々に彼のキスが深くなり、同時に彼の体重が体にかかっていることに気付いて、半分頭をぽうっとさせたまま慌てる私。
「なに?」
しかし灯也さんは、涼しい顔をして私の下唇をぺろりと舐め、そのまま私の背中をソファに沈めてしまう。
こ、この流れは……?
クリスマスに初めて結ばれて以来、何度かそういう機会はあったものの、回数としてはまだ片手で足りるくらいだし、いまだに全然慣れない夫婦生活。
なんだかこのままその流れに突入しそうだけれど、ここはベッドではないし、まだ昼間だし、色々といつもと違う……!
「なに、って……あの、この状況は……?」
冷や汗をかきつつ尋ねれば、頭上の彼は平然とこう言った。
「ん? だってキス程度じゃ、俺のたぎるような愛は伝えられないだろ?」
「いえ、あの、もう充分伝わってますけど」
「そんなわけないだろ。悪いけど、俺の愛はそんな生ぬるいもんじゃない」
そう宣言するのと同時に、鋭い眼差しで私の心を射る灯也さん。心臓がありえないくらいにジャンプして、体中を熱い血が巡った。