副社長は花嫁教育にご執心
番外編
花嫁姿に心奪われ ~side灯也
本社での仕事が忙しく、ようやく結婚式の準備に入ったのは春の終わりごろのこと。
着々と準備を進めながら月日は過ぎ、季節が秋に差し掛かった頃、フルオーダーにしていたウエディングドレスがようやく届いたと、式場から連絡があった。
というわけでその週末、俺とまつりはふたりそろって式場を訪れた。
小さな一室で向き合った俺の可愛い花嫁は、ふわりと純白のドレスの裾を揺らしてくるっと回り小首を傾げた。
「……どうですか?」
「うん、すごくいい」
おとぎ話のお姫様のように、豪華にふくらんだドレスの裾。対照的にきゅっとくびれたウエスト、美しいデコルテのライン。そして、はにかんだまつりの笑顔。
ああ、完璧だ。……ドレス、こだわってフルオーダーにしてよかった。
かわいいし、きれいだし……このところの彼女は色気も増していて、俺はたまらず熱い眼差しでじっと見つめてしまう。
「灯也さん、あの、そんなに見ないでください」
式こそまだだけど、籍を入れて一緒に生活をはじめてからはだいぶ経つというのに、いまだにこれくらいことで頬を赤く染めるまつり。
その初心な反応に、外見的な女子力は上がったように見えても、まつりはやっぱりまつりだなと、心の柔らかな部分をきゅっとつかまれるようだった。