副社長は花嫁教育にご執心
そ、そんなことまで弟に知られていたとは……。
そうそう、告白はされたことあるんだけど、私はいつも「付き合うって何するの? 遊ぶなら友達でよくない?」って断ってばかりだった。
そんな私が結婚するなんて、当時の友達が聞いたらびっくりするんだろうなぁ。
……それにしても。
「ちょっと遊太、勝手に人の過去ばらさないでよね……あとワイン飲み過ぎ」
めったに飲むことのない高価なワインをご馳走になって舞い上がっているせいか、今日の遊太は口数が多い。
その手からグラスを奪って代わりに一気飲みすると、私も人のこと言えないくらい酔いが回ってくる。でも、いいお酒なので悪酔いはせず、とっても心地いい。
料理も全部美味しいし、最高の気分だな……。ほろ酔いで、意味もなくふふっと口もとを緩ませる私に、男性ふたりは呆れた顔をする。
「……で、男を知らずにきたからこうも隙だらけなわけか」
「ですね。ぜひぜひ、設楽さんが一から教えてやってください」
「ええ。元からそのつもりです。こうも教え甲斐がありそうな女性に出会えて、しかも結婚できるなんて、今からワクワクしてますよ」
教え甲斐、ねえ。いざ教えてみたら、私の劣等生ぶりに“こんなはずじゃなかった”とか思わないでしょうね。