副社長は花嫁教育にご執心
「籍……いつ、いれますか?」
「そうだな……とりあえず明日時間が空いたら、婚姻届を取りに行ってくる」
「わかりました。お願いします」
はにかんでうなずいた私の頭をポンポンと撫で、灯也さんは部屋をぐるりと見渡した。
「籍入れて、まつりの引っ越しの準備が整い次第、一緒に暮らそう。このマンションで広さは足りそうか?」
「足りるどころか広すぎるくらいです。引っ越しと言っても家具や家電は弟が使うから置いていきますし、荷物はそんなにないからすぐにでも準備できます」
「了解。明日、合鍵を渡す。いつでもまつりのタイミングで来れるように」
こくんと頷いて微笑めば、大きな手に頭を引き寄せられてぴたりと彼の胸に押し付けられた。
布団の中でつながった手からもぬくもりが伝わり、お互いの体温がだんだんと一緒になっていく。
それから少しずつ眠気が押し寄せて、小さく欠伸を漏らした私は、これからの結婚生活にたくさんの幸せを期待をしながら、そのまま自然と眠りに落ちた。