副社長は花嫁教育にご執心
「まつり、つらい……?」
「つらい……と、いうか……」
熱のだるさに加え、キスに酔い過ぎたのか体の奥が変にうずくし、頭の中まで蕩けそうだ。
でも、つらいとは違うような……。
「その顔じゃ、“もっとして欲しい”と解釈するよ?」
「それは……や、やめてください。なんか、おかしくなっちゃいそうなので」
激しい動悸を繰り返す胸に両手を置いて、息も絶え絶えに話す。そんな私に対しまだまだ全然余裕という感じの灯也さんはクスッと笑って言った。
「……うん。まつりがおかしくなっちゃうところも見たいけど、それはやっぱり元気な時にとっておこうな。その方が俺も思い切り可愛がってやれる」
うわぁぁぁ。そんな予告されたら、元気になりづらいな。どうしよう。不安だし、緊張するし、恥ずかしいけど……。
「こ、心の準備、しておきます」
「力み過ぎ。ほら、もう休んでな」
穏やかな声と瞳に包まれ、子どもを寝かしつけるみたいに、布団の上からぽんぽんと身体を叩かれる。
するとやっぱり体の調子が悪いせいもあって、私はすぐに夢の中へと誘われていった。