副社長は花嫁教育にご執心
ああ、嵐が去った……。しかもなんだかんだ上手くいきそうじゃない、あの二人。振り回されて損しちゃった。
ホッとしところで、私はふと思い出し体温を測ってみた。
「灯也さん! 下がってます、平熱!」
「ホントか? よかったな。けど、さすがにスノボはやめたほうがいいよな……そうだ、ちょっと買い物に行かないか?」
「何か買いたいものがあるんですか?」
「ああ。まぁ着いてからのお楽しみだ」
イタズラっぽく微笑んだ灯也さんに、胸が期待に弾む。どこへ行くんだろうなぁ。軽井沢って、素敵なお店がたくさんありそうだから。
その後、朝食で皆がそろった時に私たちは別行動をすると伝えたけど、誰も異論を唱える人はいなかった。
というか、このメンバーでの旅行はいつもこんな感じで各々が自由な行動をとるらしい。
小柳さんと杏奈さんは口げんかしながらも仲良くゲレンデへ。
そして和香子さんは「わたしも男欲し~い」と、同じホテルに泊まる若い男性グループの中へと果敢に飛び込んでいった。