副社長は花嫁教育にご執心
「楽しみですね」
「ああ。早くまつりに着けて、俺のものだって示したいよ」
……と、このセリフをジュエリーショップのカウンターでするものだから、私だけでなく接客してくれた販売員のお姉さんまで顔を赤らめていた。
まったく、灯也さんは本当に私を甘やかしすぎるんだから。
なんて、怒っているようでただの惚気じゃん、と自分で自分に突っ込んでにやける、幸せすぎる時間だった。
その後も外出によって熱が上がったりすることもなく、最後に小柳さんや皆でホテルの遅めのランチを食べ、明日は仕事だからと早めに灯也さんとともに帰路についた。
行きと同じグランクラスの車内では彼と手をつなぎ、心地よい疲れと安心感の中で眠ることができた。
今回の旅行ではいろいろあったけど、仕事を離れたことで少しはリフレッシュできた気がする。
クリスマス、年末年始は繁忙期。もうすぐ、灯也さんのご両親との会食も控えている。
さすが師走、という今後の予定の詰まり方に、私はいっそう気を引き締めた。