借りたモノ
1
その日、押し入れを掃除していたら、あるものを見つけ手が止まった。


みかんの段ボール箱に詰められた、一度も使われていないベビー服。


そして、哺乳瓶に、おもちゃ。他にもたくさんの物がそこには入れられていた。


「あの人、こんな所にしまってたんだ…」


淡いピンクのベビー服を手に取り、この服を着せるはずだった子の温もりを求めるように撫でるが…


胸が苦しくなるだけだった。


どのくらいそうしていたのだろうか。

傾いた日の光が足元に手を伸ばし、意識がそちらにそれた。


「いけない、夕食の準備しないと。」


ベビー服を元に戻した段ボールを押し入れの奥へと入れるため、中に体を半分突っ込む。


その時、別の段ボールの後ろに何か落ちているのを見つけた。


「何かしら?」




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