大好きな彼は超能天気ボーイ
今日は久々にある部活!

部長はもちろん阿久津先輩。
マネジャーの中でもリーダーなのが、山田先輩だ。


山田先輩は少し厳しい。
でも言ってる事は正しくて、みんなに慕われている。


ダンッダンッ


響くボールをつく音。
功はボールを自由自在に操る。

バスケ部のリーダーが阿久津先輩で、
エースが2年の土岐先輩なら、
功は、バスケ部の影のエースと言われている。


一年にしてだよ?まだ部に入って半年。
凄くない?


私、知ってる。功がちゃんと努力してる事。

良いよね、天才は。
なんて、嫌味を言う時もあるけど、


机に山積みされた見るからに難しい参考書も、
沢山付箋の貼られた本たちも、
全部が全部、功の努力だって知ってる。


試合の時も眠いとか言いながら、他校のプレイを見て研究してるのも。


功はやっぱり、カッコいい。
だから私も、マネージャーの中のエースを目指すんだ。


「功!お疲れ。」


「ありがと。梨乃もお疲れ。」


「うん。」


「あのさ、梨乃。もうすぐ試合じゃん?
それが終わったらさ…どっか行かない?」


…。これって…。


「おーい梨乃?
人のデートの誘い、無視しないで。」


やっぱり…!


「い、良いの?」


「当たり前。
ほら、あんまどこも行けてなかったし。」


「本当に!?デート、デート!っ」


思わずはしゃいでしまう。
だって功が…あの功がデートに誘ってくれたんだもん!


そんな私を見て功は、

「ほらほら、そんなはしゃがないで…。
そんなに嬉しかった?」


なんて冷静に…
余裕ありすぎてこっちが恥ずかしい。

でも…

「うん!嬉しかった!ありがとう、功!」


そう言ってはにかむように、笑ってみせる。
幸せとはこの事。



「…はあ、」


「どうしたの?ため息ついちゃって…。」

もしかしてテンション高い私に嫌気がさしたとか?


「いや、
やっぱ梨乃が好きだなって思っただけ。」


「なっ…」


「そうやって照れるとこも好き。」


「功の…ばか。梨乃さんはね、そういうのに弱いんだぞ。」

もう無理、顔真っ赤だ…


「そ。僕は梨乃が好き。」

そう言って私に微笑みかける功。
思わず見とれてしまうほど、綺麗な笑顔だ。


「…うっ…私も…。」


すると功は私の頭を撫でた。

でも…


「ほら!そこのお二人さん!二人だけの世界は後で堪能しといてください!ほら、ストレッチ!」


山田先輩はそう言うと、一度キリッと私達を睨んだ。

厳しい…


「恥ずかしい…」


「ふはっ…やっぱり梨乃可愛い。」



「っ〜〜!」

功は私が言葉を発する前に、ストレッチしに陣に戻って言った。


功のペースにずっと巻き込まれてる…。


やっぱり、あの能天気には敵わない。


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