大好きな彼は超能天気ボーイ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「梨乃、こっち手伝って!」
「はい!今行きます!」
部活…
体育館は昨日の雨の蒸し暑さと、熱気で尋常時ないほど呼吸がしづらくなっていた。
「ほら功、水分呼吸。」
「お、梨乃ありがと。」
そして
功は渡した水をゴクゴクと飲んでいく。
そして
少し気分が休まったのか、鼻歌を歌いだす。
可愛い……。
「功、頑張ってね。」
「うん。頑張る。
梨乃も、あんまり無理しないでね。」
選手はみんな沢山汗をかいていて、とても大変そう。
だから少しでもいい状態で、落ち着いた状態でと思って頑張ったりできるんだよね。
「梨乃、こっちきて!」
三宅先輩が私を呼んでいる。
その声の方に目を向ければ、阿久津先輩が足を押さえて、顔をしかめている。
もしかして、怪我?
私は急いで阿久津先輩のところへ寄っていった。
「先輩!大丈夫ですか?」
「ああ、軽い捻挫だから大丈……イテッ」
「先輩っ、無理は禁物です!」
「悪いけど、
梨乃、こいつ保健室で手当てしてやって。」
「あ、はい。
三宅先輩、代わりにドリンクお願いします。
先輩、私の肩に捕まってください。」
そうして私は先輩を担ぐ。
でもやっぱり体格に差はあって…
「悪いね、梨乃ちゃん。」
ふらふらとした私の足取りを感じ取ったのか、先輩は少し申し訳なさそうにする。
「いえいえ、任せて、下さい…」
すると ふっと肩が軽くなる。
何事かと思えば、
功が反対で担いでくれている。
「功!どうして…練習は大丈夫なの?」
「どう見てもクタクタだろ?だから梨乃が優先だよ。」
「功…ありがとう。」
優先…か。
そんな功の優しさが、私の胸をキュッと掴んで離さない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「先輩、そこ腰掛けれますか?」
先輩を椅子に座らせる。
保健室に着いたのだ。
「じゃ、僕行くね。」
「功!ありがとう。」
「ん。」
功は一度私の頭にポンと手を置き、
その場を後にした。
思わず笑みがこぼれる。
ニヤけるな帳!先輩の前だぞ!
「なんか、ごめんね。」
先輩は申し訳なさそうにして、
頭をガシガシと掻く。
「えーとまずは冷やしましょ?保冷剤…」
そう言って冷蔵庫から取り出し、先輩の足に当てる。
「冷たっ。」
先輩の思わぬマジトーンの反応にクスクス笑ってしまった。
「何?」
「いや、何でもないです。
多分今日は練習、諦めて下さい。
冷やし終わったら、テーピングですよ。」
「梨乃ちゃんはすごいね。手当の仕方とか、まだ入ったばっかなのに。」
「あー、多分心配性だからです。
いつも功の面倒も見てるし…」
「へえ、そうなんだ。
ね、梨乃ちゃんちょっとこっち向いて、」
「何ですか…」
ちゅっ
そんなリップ音とともに私の唇にそっと落ちた柔らかな感覚。
「なっ、せんぱっ…あくっ、先輩?」
いきなりの事にペースが付いてこない。
けいれんに近いほどパクパク動く口…
まるで金魚のように…
もしかして私、今…
「ごめん、キスしちゃった…。」
悪びれる事なく私にそういう阿久津先輩。
私はただ驚きを隠せなくて、顔を覆ってしまう。
「何?照れてんの?」
「…照れ無いわけないじゃないですか!?
元凶は先輩ですよ?」
「でも分かったでしょ?俺が本気で梨乃ちゃんを奪う事。
あ、もしかしてファーストキスだった?」
「あ、それは違います。
ちっちゃい時に
功に何度かちゅってされました。」
「は?マジで?あいつ…」
私も流石にこれはとても印象的で…
でも、心の片隅でどこか功だったらな…
なんて思ってしまう、失礼な自分がいて…
とっても心がギクシャクする。
「梨乃、こっち手伝って!」
「はい!今行きます!」
部活…
体育館は昨日の雨の蒸し暑さと、熱気で尋常時ないほど呼吸がしづらくなっていた。
「ほら功、水分呼吸。」
「お、梨乃ありがと。」
そして
功は渡した水をゴクゴクと飲んでいく。
そして
少し気分が休まったのか、鼻歌を歌いだす。
可愛い……。
「功、頑張ってね。」
「うん。頑張る。
梨乃も、あんまり無理しないでね。」
選手はみんな沢山汗をかいていて、とても大変そう。
だから少しでもいい状態で、落ち着いた状態でと思って頑張ったりできるんだよね。
「梨乃、こっちきて!」
三宅先輩が私を呼んでいる。
その声の方に目を向ければ、阿久津先輩が足を押さえて、顔をしかめている。
もしかして、怪我?
私は急いで阿久津先輩のところへ寄っていった。
「先輩!大丈夫ですか?」
「ああ、軽い捻挫だから大丈……イテッ」
「先輩っ、無理は禁物です!」
「悪いけど、
梨乃、こいつ保健室で手当てしてやって。」
「あ、はい。
三宅先輩、代わりにドリンクお願いします。
先輩、私の肩に捕まってください。」
そうして私は先輩を担ぐ。
でもやっぱり体格に差はあって…
「悪いね、梨乃ちゃん。」
ふらふらとした私の足取りを感じ取ったのか、先輩は少し申し訳なさそうにする。
「いえいえ、任せて、下さい…」
すると ふっと肩が軽くなる。
何事かと思えば、
功が反対で担いでくれている。
「功!どうして…練習は大丈夫なの?」
「どう見てもクタクタだろ?だから梨乃が優先だよ。」
「功…ありがとう。」
優先…か。
そんな功の優しさが、私の胸をキュッと掴んで離さない。
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「先輩、そこ腰掛けれますか?」
先輩を椅子に座らせる。
保健室に着いたのだ。
「じゃ、僕行くね。」
「功!ありがとう。」
「ん。」
功は一度私の頭にポンと手を置き、
その場を後にした。
思わず笑みがこぼれる。
ニヤけるな帳!先輩の前だぞ!
「なんか、ごめんね。」
先輩は申し訳なさそうにして、
頭をガシガシと掻く。
「えーとまずは冷やしましょ?保冷剤…」
そう言って冷蔵庫から取り出し、先輩の足に当てる。
「冷たっ。」
先輩の思わぬマジトーンの反応にクスクス笑ってしまった。
「何?」
「いや、何でもないです。
多分今日は練習、諦めて下さい。
冷やし終わったら、テーピングですよ。」
「梨乃ちゃんはすごいね。手当の仕方とか、まだ入ったばっかなのに。」
「あー、多分心配性だからです。
いつも功の面倒も見てるし…」
「へえ、そうなんだ。
ね、梨乃ちゃんちょっとこっち向いて、」
「何ですか…」
ちゅっ
そんなリップ音とともに私の唇にそっと落ちた柔らかな感覚。
「なっ、せんぱっ…あくっ、先輩?」
いきなりの事にペースが付いてこない。
けいれんに近いほどパクパク動く口…
まるで金魚のように…
もしかして私、今…
「ごめん、キスしちゃった…。」
悪びれる事なく私にそういう阿久津先輩。
私はただ驚きを隠せなくて、顔を覆ってしまう。
「何?照れてんの?」
「…照れ無いわけないじゃないですか!?
元凶は先輩ですよ?」
「でも分かったでしょ?俺が本気で梨乃ちゃんを奪う事。
あ、もしかしてファーストキスだった?」
「あ、それは違います。
ちっちゃい時に
功に何度かちゅってされました。」
「は?マジで?あいつ…」
私も流石にこれはとても印象的で…
でも、心の片隅でどこか功だったらな…
なんて思ってしまう、失礼な自分がいて…
とっても心がギクシャクする。