大好きな彼は超能天気ボーイ
そして私たちが家を出れば、
近所のおばちゃんたちが私達を見るなり



「おはようさん、今日も仲良いねえ」

って声をかけてくれる。


私たちはそこらで仲がいい事で有名な幼なじみなのだから。

喧嘩だって数えるほどしかした事ないし…
そうして私たちは、バスに乗り込む。


「うわぁ、かなり混んでるね。」



周りには沢山の学生とサラリーマンで当分座れそうにない。



「うん。そうだね。あー、学校めんどくさい…」


功は、そういうとくわあってあくびをした。



「思うけど、功ってかなり強者だよね。さっきも入学式やだって。なかなか言わないよ…
おっと…」





バスがガタンと揺れたのである。


私は思わずバランスを崩したけど、
自身のバランス神経を最大限に使い込み、
なんとか耐えた。

さすが私!←



「梨乃、
危ないから吊り革捕まっときなよ。」



「捕まりたいけど背が足りないんだよ…」



私、帳梨乃は現時点で154㎝という低身長。


中一のときから、すでに成長期というものが止まっている…。


吊り革にギリギリ届くは届くけど、

その前に腕がつるんだ。

だれか、同士いない?



「ふはっ‘ちび’だからね、梨乃は。」


余裕そうに吊り革を手にする功。
もうひっぱたいてあげたい。



「あーあ。また出た。自分が少し背が高いからって。今、全国の低身長を敵に回したよ?
ちびは今日もつり革で 一苦労ですよーだ。」




「あれ、拗ねちゃった…?おーい梨乃さーん。」



すると功は私のほっぺたをツンツンとつつく



「ほら、梨乃。」




そう言って功は私の手を自分の肘元へつかまらせた。

一気に距離が近くなって、程よく体が熱を持つ。




「え、何してんの?」


でも私は、平然を装って少し冷たくする。



「吊り革代わりにどうぞ。」



そう言って、功はほほ笑んだ。




「功…。ありがとう!」



功はいつものんびりなんだけど、たまに紳士なところがあるんだ。

車に乗るときはドアを持ってくれたり、部屋へ入るときは私から入らせてくれたり。




彼の腕は、ちょっぴりたくましくて、温かかった。










< 7 / 174 >

この作品をシェア

pagetop