大好きな彼は超能天気ボーイ


「なんだ。心配して損した。」

私たちは、見事に同じクラスになったのだ。さっきまでの不安は何処へやら。


私は、颯爽とクラスへ向かう。



「まあ、良かったじゃん。それに梨乃が心配しくれた方が僕は嬉しいけど。」


「え?」


「んーん。何でもない。」


クラスには、既に何人か人がいる。


なんとなく落ち着いた雰囲気で、ここなら上手くやっていけるかも。そう思うことができた。



「あ、とばちゃん!」


そう私に声をかけたのは…?

濱田 早苗 (はまだ さなえ)



「あ、早苗だ!同じ高校なんだね!なんかすごく心強い〜」


早苗は、中一の時に、仲良くなった子。


でもそのあと二年間クラスが離れて、
なかなか話す事が出来なかった子なんだ。

久しぶりの再会だけど、打ち解けるのに時間はかからなかった。



早苗は、とてもいい子だ。



両親が離婚して、名字が 阿形(あがた)から帳(とばり)に変わってクラスで少し浮いていた時があった。




私を可哀想な目で見る子も多かった。



だけど早苗は、変わらない態度で接してくれていたから。


私の名字が‘とばり’と少し変わっているから、
私のあだ名が


‘とばちゃん’ となったのだ。



席について、久しぶりの女子トークをする。
でも後ろから聞こえてくるのは…



「ね、あの人かっこ良くない?」


「本当だ!うちかなりタイプかも!」


なんて言う黄色い声。そう噂されてるのは、


「名前…あ、高橋 功だって!名前までカッコいい!」


席順を表示された紙を見て女子たちは騒ぎたてる。


いや、功なんて高橋なんて、そんな名前かっこいいか?



『鬼龍院』


とかなら、かなりしっくりくるけど…



サラサラのブラウンの髪に
すっと通った鼻筋。



部活はやってなかったから


筋肉質では無いけど程よくついた筋肉と、すらっとしたシルエット。

そして肌の透明感。



確かに。確かに功はかっこいいと思うよ。



だけど功のあの能天気な性格はきっと誰にもついていけないと私は思う。


たまに。ごくたまに可愛らしいところはあるんだけど…

< 9 / 174 >

この作品をシェア

pagetop