姫☆組 2nd (姫シリーズVol.2) 【完】
その時、ジャンのポケットの携帯が鳴った

張り詰めた部屋の中に、響く携帯音

ジャンは、ポケットから携帯を取り出し、画面を見て、通話ボタンを押した

「・はい・・・ はい・・ え? あっはい・・わかりました」

「「・・・・・・・・」」

「親父からだった・・ 買収・・された」

ジャンはその場に座り込んでしまった

「マジ・・で・・・・」とダンは固まったまま

ケンはそんなふたりの兄弟を前に俯くしかなかった

ケンが売ったのは、持ち株の約半分の7%

その結果市場で取引されているのは57%の株式

ブレイク財閥にとって、三兄弟が独自で興した株式会社の損失はたいしたものではない

だが、三兄弟にとっては愛着のある、三人の想いがつもった会社だったのだ

「・・ケン、なんでだ? なぜ売った? そんなに金に困っていたのか?」

ジャンがソファに座っているケンを見上げた

すごく困っていたわけじゃない

フラッと行ったモナコで、いい物件があったのだ

年に一度行われる‘モナコ・グランプリ’

唯一、三兄弟で毎年行くカーレース

レース脇の民家の住民は、グランプリの期間、世界中から集まる富豪達に家を貸すので、三兄弟もいつも借りていたのだが、いい物件があったらほしいと三人でよく話していたのだ

そんな時に見つけたマンション

レースを観戦するには最高の立地条件だったので、ケンは迷うことなく契約書にサインをしたのだ
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