姫☆組 2nd (姫シリーズVol.2) 【完】
「キャー やっぱり!! 龍馬くんと、姫花ちゃんですよね!! 「姫★組」買いました!! ファンなんです!! 握手してください!! キャー二人とも、顔ちっちゃーい 」
許可なく、携帯で二人を激写した女の子は興奮しながら、近づいてきた
突然の出来事に驚くふたり
「ちょっと! 君!! 勝手になにしてるんだ!!」 店長が出てきて、彼女の行く手をふさいだ
エリーは去年、姫花達が学際で出した喫茶店が好評で、理事長がそのまま店舗をかまえさせ、喫茶店にしてしまったもの
最初の頃は、咲と姫花もウエイトレスとして店に立つこともしばしばだったが、最近は仕事が忙しく、こうやって客としてくるのも久しぶりなくらいだ
それでも、エリザベス学園に隣接している為、生徒が利用する事も多く、それもエリーのウリになっていたのだが、暗黙のルールとして、話しかけないのが通常だった
街で偶然見かけたのではなく、彼女らも、芸能科に通うお目当てのアイドルやモデル、歌手達を見たくて来るのだ
テレビや雑誌の中でしか視界に入ってこない憧れの人物を見れ、同じ空間にいれる・・
芸能科の生徒も、ファンサービスのひとつだと思っているから、エリーに足を運ぶ
「店長・・ いいよ」と姫花は少女と格闘している店長に声を掛けた
姫花のその言葉に、勝ち誇ったような笑みを浮かべ、少女は姫花と龍馬のテーブルまで来た
「こんにちは」姫花は少女に笑みを浮かべる
「こっこっ・・・こんにちは!! サッ・・サインくだだいっ!!」カミカミでカッチコチの少女は手帳を姫花に差し出した
姫花は笑顔のまま少女から手帳を受け取り、サインを書き、それを龍馬に渡す
え? 俺も? と龍馬は眉をひそめたが、何も言わず、渡された手帳にサインをする
「今日の事は秘密ね いつもこうやって対応できないから・・」と龍馬は少女に手帳を返した