オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
<side 佐々>

花美のマンションの前につくと、石田が立ってた。


「…っこの…バカヤロウ!!」

「す…スンミマセン……スミマセン…」


並んだ窓を見上げても、どれが花美んちかわかんねぇ……

しかもオートロック。

ラインも電話も音沙汰なし。


「…どおしても、行かなきゃいけない用事があるって、駅前で降りるって言うもんですから……」

「用事?…ああ、なんかそんなこと言ってたな」


オレは窓から視線を逸らし、もう一度石田をにらむ。


「だ…、ダメだって言いました!必ず家まで送るように言われていましたし、でも、赤信号で止まってたときに、勝手に降りちゃって……」

「……」

「すぐ探そうとしたんですけど、渋滞で、でも、様子…おかしかったし、気になって…。数日前、お二人を送迎して、自宅の場所は知っていたので…」

「…お前が着てから、まだ花美は帰ってきてないんだな?」

「…はい」


渋滞だって言ってたから、もしかしたら、石田より先に帰ってきてんのかも知んねぇ……

でも……

すげぇ…、イヤな予感がする。

自慢じゃねぇけど、当たんるんだよ…オレ。こおいうの。


「……佐々?」


不意に、背後から聞きなれた声が、オレの名前を呼んだ。


「成久……?」


――なんで成久がここにいるんだ?


そのすぐ脇を、オンナがすりぬける。

マンションに戸惑いもせず入ってくと、壊すんじゃねぇかって勢いでコールを鳴らして、

返事がないと、すぐに、管理人室にむかって何か叫びだした。


「最上階のペントハウスよ!!今すぐ開けなさいっ!!」

「……いえ、しかしですね」

「このマンションのオーナーは私よ!クビになりたくなけりゃ、今すぐ開けるのよっ!!」


真っ青になった管理人が持ってきた鍵をひったくると、

そのオンナは、エレベーターも待たずに階段を駆け上がりはじめた。

最上階だぞ?

ケド、好都合だ。

成久がオンナに続くのを見て、俺も一緒にマンションの中に入り込む。

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