オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
<side 花美>

ガシャンッ!!

大通りのほうから、何かがひっくり返った音と……


「逃がすんじゃねぇぞっ!!」


オトコの怒鳴り声が聞こえてきた。


「ねえ~隠れてないでさぁ~!俺たちと遊ぼうよ~」

「そうそう、ひとりじゃ危ないよ~?ひゃははっ!」


数人が集まってくる足音。


「はあっはあっ…」


この路地を曲がってきたら、見つかっちゃう。

辺りを見渡して退路を探す。

…と、その時……


「……なにやってんの?あんた、あのイケメンはどおしたのよ」


何処からか、声が聞こえた。

暗がりの中、声の聞こえた方向に必死で目を向けると、

どこかの飲食店のだろう、倉庫の陰に隠されて、細い脇道が通っているのが見えた。

一見しただけでは到底気づかない。


「…はあっ、はあっ…はっ、うそ…」


――な…んで?


目の前の、声の主に見覚えがあった。


「……ま、あんたには借りがあるし、家に来る?」

「……」


一瞬の躊躇と思案。


このワンピに合うからって、佐々くんのお母様がくれたヒール。

走りにくいから手に持ってたソレを、ぎゅっとにぎりしめる。

意を決し、眼前のその人に向かってうなづいた。


「お世話になります!お姉サマ!!」

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