オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
「追われてる理由は関係ねぇ。あんたに非があろうが無かろうが、かくまってりゃユリも巻き込まれる。コイツが危険なのは我慢ならねぇっ」


据わった目。

さらに凄みを増す声色に、恐怖のあまり言葉が出ない。

でも…

――アレ…??

なんか、今、藤堂さん、変なこと言わなかった?


『追われてる』


って……なに?

私が?どゆコトっ!?


「藤堂!!」

ドガッ!!


ワケを聞く前に、お姉さまの頭突きが決まった。


「いい加減にして!さっきから何わけのわかんないこと言ってんのよ!!」


お姉さまってば……強い!

顎を押さえて呻いてる籐堂さんに、さらにバシバシ平手を打ち込んでる。


「ま、待ってお姉さま!」

「それやめろっ!!妙な呼び方で、ユリに変な責任感を植えつけてんじゃねえよっ!!」

「ごっ……ごめんなさい……でも」


誰か、私を探してるってコトなの?

何がどうなってんのか、さっぱりわかんない。

話を聞こうにも、


「花美に怒鳴んないでよっ!!籐堂っ!!」

「痛ってえっつってんだろ!!ユリ!!」


話を聞くどころじゃない。

確かに、あの夜追われてたケド、あんなのただのナンパだったでしょ。

他に心当たりといえば“剣菱”絡み。

でも、優華が大っぴらに私を探すことなんかする?

大体、それのどこが危険?

でも、じゃぁ誰が……?って悩んだところで、


「とにかくだ!ハッキリ言わせてもらえばだなあっ!!さっさと出てけっ!て事なんだよ!」


籐堂さんの怒号と、


「……出ていくのは、お前だぁああっ!!」


お姉さまの大声に、我に返った。


ガッシャァアアンッ!!!!


一瞬、建物が軋む。


「二度と来んなっ!!」


大声がして、慌てて、音がしたほうを振り向くと、お姉さまが一人玄関に立ってる。

と…藤堂さんは…?


「……」


すごい……

このガタイをどおやって放り投げたんだろう……

玄関ドアの外で、ひっくり返ってた。

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