オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
そうか、お前…

逃げてきたんだな。

こんなふうに。

怖くなると、いろんなことから……


『ウソつき!』


そういった時の、花美の怯えた顔が頭に浮かぶ。

ウソなんかじゃない。

でも、花美は信じない。

今まで、本気でお前のこと、“好きだ”……って、言ったオトコだって、いたはずなんだ。

なのに、

なんでダメになった?


『誰でもいいのよっ!』


そう、剣菱優華が言ってた。


オトコなんて、そばにいるだけでいいのに……

あの部屋にいっぱいに敷き詰めてあった、“ぬいぐるみ”のはずなのに、

いきなり抱きしめられたら、そりゃビビるわなっ!!


相手の本気に、

怖くなったんだろっ……!


――オレが告ったから……


怖くなって逃げやがったなっ!

あの……バカッ!!


バンッ!!


そばの壁を叩くと、右手に鈍い痛みが走った。

それがオレに冷静さを取り戻させる。

現実に引き戻す。


あったま、キタ!!

そんなの、オレには通用しねぇぞっ!花美っ!!


自慢じゃねぇけど、オレは今まで一度だって、

自分からっ、

オンナにっ、

スキだなんて事は、

言ったことねんだよっ!


それを、

なかったコトなんかに絶対にさせねえっ!!

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