オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
「……お前ら、なんか思い出したら中央町にある“guns and roses(ガンズ・アンド・ローゼス)”って店に言いに来いっ」
息を飲む音がして、沈黙が流れる。
ゴソゴソ動いていたオトコ達の動きが止まる。
「…わかったらオレの気が変わんねぇうちに、さっさと消えろ…」
「……」
店の名前出したぐらいで、慌てて走り去るバカどもなんか、最初からアテになんかしちゃいない。
黒にシルバーのラインの携帯を、ポケットの中から取り出す。
いまどき、どうかと思う二つ折りのガラケー。
それを見て、成久がギョッとする。
「ちょ…っ!おいっ、佐々…、やめとけって!花美ちゃんが自分から出てくるまで待ったほうがいい」
「……」
「佐々っ!」
――成久の意見は却下だ。
あの日、倒れた花美を抱きしめたとき、もう、目が覚めないんじゃなかって本気で焦った。
あまりにも華奢で、頼りなくって…
こんなのが、よく立って、動いてるなって、そう思ったんだ。
なのにあいつ、笑うんだ。
どんなことがあっても、
それまで泣いてたって、
別れぎわ、ふわりと笑う。
まるで、感情をリセットするみたいに……
両親がいないなんて、知らなかった。
朝帰りさせたときも、笑って“大丈夫”って、あいつ…、顔色変えず変えなかった。
辛いはずなのに…
部屋中、ぬいぐるみだらけにするほど、寂しいくせに。
「……あいつが自分で出てきたときには、もうダメんなってるよ……成久」
こっちの気持ちなんかお構いなしに、勝手に終わりにしようとしてるんだ。
取り繕った笑顔で出てきたら、もういちど崩すのは、
きっと、
もう、
そう簡単なことじゃない。
そんでまた、次の“ぬいぐるみ”探すんだろ?
オレに声かけた時みたいに……
「……そんなこと、絶対にさせねぇ」
「…佐々……」
手のひらの中の携帯を握りしめる。
――オレにしとけよ、花美。
…ってか、もう、オレしか許さねぇ。
成久は諦めたのか、仕方がないとばかりに息を吐いた。
――花美……
心の中でつぶやいて、
空を仰ぐと満月。
輝く月明かりに、小さく震える星はかき消されて見えない。
――会いたい……
どこにいる?
今……
ひとりで泣いてねぇ?
息を飲む音がして、沈黙が流れる。
ゴソゴソ動いていたオトコ達の動きが止まる。
「…わかったらオレの気が変わんねぇうちに、さっさと消えろ…」
「……」
店の名前出したぐらいで、慌てて走り去るバカどもなんか、最初からアテになんかしちゃいない。
黒にシルバーのラインの携帯を、ポケットの中から取り出す。
いまどき、どうかと思う二つ折りのガラケー。
それを見て、成久がギョッとする。
「ちょ…っ!おいっ、佐々…、やめとけって!花美ちゃんが自分から出てくるまで待ったほうがいい」
「……」
「佐々っ!」
――成久の意見は却下だ。
あの日、倒れた花美を抱きしめたとき、もう、目が覚めないんじゃなかって本気で焦った。
あまりにも華奢で、頼りなくって…
こんなのが、よく立って、動いてるなって、そう思ったんだ。
なのにあいつ、笑うんだ。
どんなことがあっても、
それまで泣いてたって、
別れぎわ、ふわりと笑う。
まるで、感情をリセットするみたいに……
両親がいないなんて、知らなかった。
朝帰りさせたときも、笑って“大丈夫”って、あいつ…、顔色変えず変えなかった。
辛いはずなのに…
部屋中、ぬいぐるみだらけにするほど、寂しいくせに。
「……あいつが自分で出てきたときには、もうダメんなってるよ……成久」
こっちの気持ちなんかお構いなしに、勝手に終わりにしようとしてるんだ。
取り繕った笑顔で出てきたら、もういちど崩すのは、
きっと、
もう、
そう簡単なことじゃない。
そんでまた、次の“ぬいぐるみ”探すんだろ?
オレに声かけた時みたいに……
「……そんなこと、絶対にさせねぇ」
「…佐々……」
手のひらの中の携帯を握りしめる。
――オレにしとけよ、花美。
…ってか、もう、オレしか許さねぇ。
成久は諦めたのか、仕方がないとばかりに息を吐いた。
――花美……
心の中でつぶやいて、
空を仰ぐと満月。
輝く月明かりに、小さく震える星はかき消されて見えない。
――会いたい……
どこにいる?
今……
ひとりで泣いてねぇ?