オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
「…チッ……」
――逃げてんじゃねぇよ……
唇に滲んだ血を舌で舐めながら、
強引に花美の腕をつかんで、再びオレの胸に包み込む。
「イヤッ…!離してっ…やあ…!! ……私に触んないでっ!!」
往生際く花美が暴れるけど、もともと大した力じゃないのに、キスの余韻でふらついてて、
無駄な努力もいいとこだ。
抵抗ごと抱きしめた。
ギュウッ……
ほんの少し力を込めただけ。
それなのに、花美はあっけなく自由を失って、
「……ん、んぅ」
苦しげな声を漏らしながら、オレの腕の中でカラダを硬直させた。
うつむいたまま、花美は何度も何度も浅い呼吸を繰り返す。
しだいに落ち着いていく呼吸に……
それでもカラダは緊張させたまま、決してオレに寄り添わない。
「すう……」
ふいに、花美が大きく深呼吸をしたかと思うと、
やけに冷静な声で、花美がポツリとつぶやいた。
「……佐々くんとは、もう会わない」
予想通りの展開に、心底ムカつく。
右手で花美の顎に指をそえると、
グイッ!!
いっきに引き上げた。
「……勝手に終わらせてんじゃねえぞ?こっちは今がピークで盛りあがってんだからよっ」
「……」
オレを見つめる花美の瞳は、吸い込まれそうなほどキレイなくせに、
まるでガラス球がはまってるみたいに、その目は何も語りかけてこない。
――……やっぱ、遅かったか……
そう、確信する。
髪や服装を整えるように、器用に感情を整えやがった。
「……Hしてくれるって約束だった。しないんだったら、佐々くんと会う理由ないじゃん?」
「セックスしたらオレのもんになんのか?ウソつけ。ヤったらそれこそ、もうオレと会う気なんかねぇくせに」
「約束が違……」
ツゥ…
…と、言葉をさえぎるように、親指で花美の唇をなぞると、
さっきのキスで、まだ少し濡れていた。
ゾクッ……
オレの中に、湧き上がる劣情。
吸い寄せられるように、顔を近づける……
…でも……
キスは、出来なかった。