オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
<side佐々>


「…佐々くんが、いいなぁ…」


おまえっ、なぁ……!

やっと、気持ちも体もだなぁ、ヒトが必死で落ち着けたってのに……


そおいうコトを、

言うなっ!!

しかも、言った自分が動揺すんなよ。

こっちのほうが、動揺するわ。


瞬きの回数が減って、

少し伏せ目がちにゆっくりと、

左下に視線をずらす。


困ったときの花美のクセ。

自分で気づいてないだろ?

花美……



――聞こえなかったことにしてやろうかな…



そう思って、じっと見る。

花美はさっきより、さらに真っ赤になって震えてる。


だって、おまえ……

本当に好きなオトコとしなくていいのかよ。

オンナって、そういうもんじゃぁ、ねえの?


せっかく、オレが踏みとどまって、

そんで……

そこらへんのオトコに…なんてことになったら……


「……」


ちょっと、待て。

もし、オレがここで、聞こえないフリしたら、また他のオトコに声かけんのか?

たしか、そんなコト言ってたよな?


“他の人、あたってみます”


思い出した!

まさかとは思うけど、やるかな?

どうかな……

このバカならやりそうだ。

メチャクチャにされるぞ?

それでもいいってお前は言うだろうけど、

甘いんだよ。

オトコなめてんじゃねぇぞ。


「クソっ!」


ほかのオトコが花美に触れてるところを、一瞬だけ想像して、背筋が凍った。

吐気がする。


クソッ……


「…わかった。もおいい」


「…へ…ぇ…えぇぇ?」


花美は


”ワケがわかんない”


とでも言いたげにオレを見据える。



「わかったよっ!!抱きゃぁいいんだろ!!抱きゃあ!!」



ボスッ……



そのまま、ベッドに突っ伏した。

そう、言うしかなかった。

オレに他の選択肢はない。


「…さ…佐々…くん?」


もう、いい。

とりあえず、それでいい。

他のオトコに声かけんじゃねぇぞ。


「ねえ?大丈夫…?」


心配そうに、花美がオレの頭をなでる。


「……」


ダメだ、こいつ…

やっぱり何もわかってねぇよ。

もお、やだ…とにかく、ここから出たい。


生殺しだ……

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