オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

でも、よく見ていると、なんだか数人のオトコの人が、佐々くんを見てお辞儀した。

交差点の向こう側にいる人も、佐々くんを見るなり、慌てて隣にいる人にも声をかけて、軽く会釈する。

そおいう人が、結構いるのに気づく。


「……佐々くんのお友達?」

「は?…ああ、まあ、オレのことはいいんだよ」


そう言って、手を繋いだまま、今度は駅に向かって歩き出す。

ゆっくり、私の歩調に合わせてくれる。

なんだか、くすぐったい。


「ふふ…」

「……笑うな。お前、少しは自覚しろ。これ以上オトコに目ぇつけられてどおすんだよ」


そう言って、通りすがりの誰かをにらんだ。


大丈夫だよ、佐々くん。

自分がオトコ受けする、軽いオンナに見えるって、ちゃあんとわかってる。


「家まではね、一駅だけなの。降りたら2分ぐらいだし、走れば平気!」


そう、答えると、


「だから、笑うなって……」


って、怖い顔して、今度は私をにらむ。

同じ様にホテルでにらまれた時、本気で怖かったのに、不思議、今は全然怖くない。

だって、佐々くんが、

こんな、“今日会ったばかり”で、“わけのわかんないお願い”をした上に、“思いっきり迷惑”しかかけていない私に対して、

本気で心配してくれてるって、わかるんだもん。

交差点で、都合のいい人を探していた時抱いた、佐々くんのイメージに反省。

人は見かけで判断しちゃいけないって、本当にその通りだ。

更に反省。


「佐々くんってば、本当は以外にもいい人だったんだね…」


ポツリ、佐々くんの背中を見ながらつぶやいた。


< 29 / 229 >

この作品をシェア

pagetop