オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
でも、よく見ていると、なんだか数人のオトコの人が、佐々くんを見てお辞儀した。
交差点の向こう側にいる人も、佐々くんを見るなり、慌てて隣にいる人にも声をかけて、軽く会釈する。
そおいう人が、結構いるのに気づく。
「……佐々くんのお友達?」
「は?…ああ、まあ、オレのことはいいんだよ」
そう言って、手を繋いだまま、今度は駅に向かって歩き出す。
ゆっくり、私の歩調に合わせてくれる。
なんだか、くすぐったい。
「ふふ…」
「……笑うな。お前、少しは自覚しろ。これ以上オトコに目ぇつけられてどおすんだよ」
そう言って、通りすがりの誰かをにらんだ。
大丈夫だよ、佐々くん。
自分がオトコ受けする、軽いオンナに見えるって、ちゃあんとわかってる。
「家まではね、一駅だけなの。降りたら2分ぐらいだし、走れば平気!」
そう、答えると、
「だから、笑うなって……」
って、怖い顔して、今度は私をにらむ。
同じ様にホテルでにらまれた時、本気で怖かったのに、不思議、今は全然怖くない。
だって、佐々くんが、
こんな、“今日会ったばかり”で、“わけのわかんないお願い”をした上に、“思いっきり迷惑”しかかけていない私に対して、
本気で心配してくれてるって、わかるんだもん。
交差点で、都合のいい人を探していた時抱いた、佐々くんのイメージに反省。
人は見かけで判断しちゃいけないって、本当にその通りだ。
更に反省。
「佐々くんってば、本当は以外にもいい人だったんだね…」
ポツリ、佐々くんの背中を見ながらつぶやいた。