オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
相手にする時間ももったいないので、視線をさっきまで見ていた“彼”に合わせる。
交差点の向こう側にいる、その“彼”は、見るからに、
遊んでそうな、
軽薄そうな、
特定の彼女もいなくて、
誠実さの欠片もなさそうな……
まあ、最低っぷりをそのまま具現化したようなヒトだった。
30分程観てたけど、3人ほどの女の人に次々に声をかけられてて、
しかも全員知り合いっぽかったし、もれなくみんなにキスしてた。
ちょっと濃いめのヤツ。
ぅああああ~っ!
最っ低!
誰にでもキスって…、
しかも、こんな公衆の面前でキスって…
――外人か!
ココロの中で叫んだ。
そして、思った。
――“彼”だったら、大丈夫かも知れない……
ゴクリ……
私は、生唾を飲み込む。
大きく深呼吸して、覚悟を決める。
――よし!“彼”がいい!!あの人に決めた!
信号が青に変わった瞬間、
私は交差点の向こう側を目指して、全速力で走りだした。