オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
「……うるせぇ~…寝不足に響く、どっから出んの、そんな超音波みたいな声」


佐々くんは耳を押さえながら、険しい顔をして後ろに仰け反る。


「…佐々くんの、エッチ!!」

「ははは、エッチだもん。オレ」


頬杖をついて、佐々くんが楽しそうに笑った。

昨日から…っていうか、初めて会った日から、私は佐々くんのこと怒らせてばっかりだったから、なんか、その姿を見たら、ほっとしてしまった。

私も笑う。


「じゃあさ、花美からして?キス」

「え?」


安心したのもつかの間。

佐々くんが、真面目な顔でとんでもない提案をする。

言っている意味が伝わっていないと思ったのか、佐々くんが言葉を足す。


「花美からしてくれるまで、オレからはしない」

「……な…んで?」

「花美のペースに合わせないと、こっちの身がもたないことを学んだんだよ」

「……」


返す言葉がない。

昨日だって、佐々くんはもう怒ってないって言ったけど、あの場面で気を失うってのは、さすがにありえないって自分でも思う。

佐々くんじゃなかったら、きっとあのまま、最低最悪の処女喪失だ。

――それでもよかったんだケド…

でも、やっぱりと言うか、佐々くんはそんなことしなかった。

そおいう人だって、初めて会った時に分かっちゃったから、二度と会わないって決めてたのに。

だって、佐々くんは“自分の事を好きな人じゃないとはHしない”って言ってる。

私の希望とはかけ離れてる。佐々くんと一緒にいる意味、なくない?

なのに、なんで私ってば、今も佐々くんと一緒にいるんだろう。


「花美からできたら、次にステップアップ」

「私、佐々くんのことスキにならないよ?それでも最後までシてくれるってこと?」

「とりあえず、それは保留」

「??」


何が保留?

その返事じゃ 、“スキになること”が保留なのか、“最期までスる”のが保留なのか、全くわからないじゃん。
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