オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
彼女たちの視線が一斉に私をにらむ。


ビクッ!!


反射的にカラダがすくむ。

冷や汗が出てくる。

だって、オンナの子達の集団って、怖いし、苦手。

いまだにプールの更衣室は怖くて、学校では一度も授業に出たことないもん。

自分に向けられた、同性からの理不尽な悪意。

これは、絶対的なトラウマだ。


瞬間、“このまま逃げちゃおう”って、思った。


すると、自己防衛なのか反射的に体が動く。

佐々くんからとは反対方向に逃げようと、方向転換したところで、


「…花美?」


佐々くんの声だけが、空気を切って私に届いた。

決して大きな声で呼ばれたわけじゃない。

それなのに、私の耳に残された、その声を聞いた瞬間、

佐々くんの声以外の音が、世界から消えた。


「佐々くん…」


逃げようとした足が踏み留まる。

声に促されるまま、私は無意識のうちに振り返る。
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