オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
<side 佐々>

花美は、うつむいたまま黙り込んで、何やら必死に考え込んでいる。

どおせ、ろくなことしか考えねぇんだから、やめときゃいいのに。

そんなことより、


――もう一度、笑えよ…、花美


昨日、眠っているときみせた花美の笑顔。

あんなふうに、オレにも笑って欲しいって思ったんだ。

だから、さっき、オレに向かって花美が走ってきた時、

こんなに早く、願いがかなうなんて思ってなくて、


――すっげぇうれしかった…


花美が、うれしそうに笑ってる。

茶色の長い髪を、ふわふわと、なびかせて…

“佐々くん”

腕にくっついた。


ヤバいだろ、カワイすぎる…

今も、まだ花美はオレの腕にくっついてる。

完全に腕を組んでることも忘れてる。

花美の胸が、電車が揺れるたびにオレの腕に押し付けられるもんだから、今までお預け食らってたぶん、かなりつらい。

なんか、オレばっかり我慢しててムカつく。

少しくらい、イジワルしてもいいかな?

いいよな?

こんだけ花美のペースに合わせて、ガマンしてんだから、

少しくらい、ご褒美くれたっていいだろ?


そっと、花美のこめかみにキスをした。

ぴくんっ、と驚いて、花美が顔を上げたところで、

耳を甘噛みして、息を吹きかけるように、ささやく。


「オレのこと見られたくなかったの?…なあ、なんで?」

「っ……!!」


耳を押さえながら、花美が震えはじめる。


――かぁああああ~~っ!!


花美の顔が、みるみる間に真っ赤になっていく。

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