オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
さすが海水浴場の最寄り駅だけあって、コンビニでバスタオルとビーチサンダルが買えた。

波しぶきのせいで、びしょ濡れじゃないけど、花美の制服のブラウスが所々濡れて透けてる。

電車内はクーラーも効いてたし、何より花美を見るオトコの視線がムカつく。

有無を言わさずバスタオルを被らせた。

潮風にあおられたボサボサの髪、裾が濡れて重そうな制服のスカート、素足に真緑のビーサン…


「ぶはっ…、すげぇカッコ」

「……家に帰るまでだから、いいんだもん」


花美は恥ずかしそうに言ったかと思うと、フイッとそっぽを向いて黙ってしまった。

バカになんかしてねぇよ?

どんなカッコしてたって、結局お前キレイじゃん。

謝ろうと思ってのぞき込むと、また花美が手を見つめている。

今度は貝殻じゃなくて、小さなクマのぬいぐるみのついたストラップ。

さっきのコンビニで、なにかコソコソ買ってるかと思ったら、ソレか。

そういや、ぬいぐるみ集めてるとかいってたっけ。

つくづく、見た目と中身がメチャクチャなオンナだな。


――まいったな、カワイイ…


そう、思ったけど、これ以上すねると口きいてくれなくなりそうだから、見て見ぬフリをする。

花美の家まで、他愛のない話をしながら帰った。

子どもの頃、あの海岸に家族で来たことがあったらしい。

貝殻は洗って、部屋に飾る。

髪の毛は染めてない。もともと茶色。

今日は、英語の時間寝ていて怒られた。

女子高にオレは来ちゃダメ。


あっという間に、花美んちのエントランスについた。

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