オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
「霧里ぉ~、なにが“どおしよう”だって?」


大人びた、落ち着いたトーンの声色。

それに混ぜた侮蔑を、隠しもしない。

その先輩は、亜麻色のシャギーが入った、肩までの軽やかな髪をたなびかせながら、


ズイッ!!


っと、床にねじ伏せられている私の前に、かがみこむと、

これ見よがしに目の前で、スマホの画面を見つめた。


「見ないでよ!!剣ちゃん!!」

「それつけたオトコと会うつもり?」


さされた指の先は、私の首元をさしてる。

この騒ぎでリボンはほどけ、開いた襟元からは、まだ消えていないキスマークが見えている。


「け…剣ちゃんには関係ないじゃんっ!!」


言い放った瞬間、私に馬乗りになってるうちのひとりが体重をかけた。


「重っぉ~~いっ!」

「失礼ね!あんたっ後輩のクセして生意気なのよ!剣菱(けんびし)先輩でしょ~が!」

「いいのよ、やめて」

「でも、優華(ゆうか)!!」

「私が“いい”って言ってるのが、わからないの?」


さすが、剣菱家のお嬢様。

毅然とした、その気高い物言いに、もう反論するものはいない。

剣菱家といえば、ここら辺では他に肩をならべるものはない名家だもん。

お金だけ持ってる成金とは違う。

一族には、各業界を代表するような先生と呼ばれる面々に、昔々は大名だっけ?

剣ちゃんってば、正真正銘のお姫様なんだわ。


でも、そんな彼女と私が幼なじみだってコトは、不本意な事実。

知ってる人は身内ぐらいで、学校内にいるわけない。


カシャッ……

「え……?」


なに?いまの音……


剣ちゃんが、自分のスマホを取り出して……


「なに…、やってんの?」

「…うわぁ…エロ~い。そりゃ、オトコは我慢できないわよね~」


まじまじと、私の写真を確認したあと、どこかに送信した。

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