オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
<side 佐々>

「返事がこねぇ…」


スマホを机の上に置くと、椅子の背もたれに体重を預ける。

教室の天井を見上げたところで、俺をのぞき込む成久と目が合った。


「なあ、佐々、今日ヒマ?合コンの人数が…」

「行かねぇよ」

「何?ヒマじゃないの?」

「…まだ、わかんねぇ…」


もう一度、スマホを確認するけど、やっぱり何もきていない。

ホームルームも終わったし、あとは帰るだけなんだよ。

会えないなら、会えないで返事をよこせって!


「…あの、バカ」


頭を抱えて、机にうつぶせる。

すると、頭上からくつくつと笑う声がする。


「なぁにが、おもしれぇんだよ…成久」

「いや、凄いなと思って、あの佐々が…はは、こうなるとは…」


肩を震わせて笑いを堪えてやがる。


「うるせぇ…」


頬杖をついて成久から視線を逸らした。

反論するのもめんどくせえ。

それよりどおする?

学校まで迎えに行くかな…とも、思うけど、

“来ちゃダメ!”って、昨日、言われたばっかだしな。

せっかくイイ感じだし、ムチャしたくねぇんだよ。

でもそう思ってんの、オレだけかも知んない…

マジで、どうでもよくて返事しねーのかも…

どんどん、思考がネガティブになっていく。


「あ゛~、らしくねぇえっ!!」

――帰るっ!


そう、イライラしながら勢いよく立ち上がった瞬間だった。


「「「おおぉおおおお~~っ!!」」」


教室中が、どよめく。


「……!?…何だ?」


声のほうを見ると、窓際に生徒が群がっている。

成久が窓のほうへ確認のため歩いていくと、徐々に、その歓声が言葉になっていった。


「うわっ!やべぇ!!」

「誰だよ、あれ!ヤバいって、キレイすぎだろ」

「誰、待ってんだ?」

「超ぉお~カワイイ!!」


なんか、この反応、覚えがあんだけど……


――まさか……


「あの制服、聖心女子だよ」


冷静な女の声が耳に届いた瞬間、


「あはははっ!!」


成久が声を出して笑い出した。


――マジかよっ!!


慌てて窓際に駆け寄ると、成久がオレに場所を譲る。

やっぱり。


「花美っ!?」


思い描いた姿、そのまま、…違う。

それより、さらに艶やかに、

花美が校門の壁にもたれて、立っていた。

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