オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)
でも、ほかに連絡とる方法見つかんなかったんだもん。

“デートは無理”って返事したいんだけど、剣ちゃんにスマホ持ってかれちゃったし、

合コン行かなきゃスマホ返ってこないし、それじゃ、遅いし…

ここで佐々くんに会えなかったらどおしよう。

誰かに伝言頼む?

3年生って言ってたから、それっぽい人に声かけてきいてみようかな?

佐々くん目立つし、知ってる人多そう。

そのことばっかりに意識がとんでて、現状をすっかり忘れてた。


バンッ!!

「……きゃあっ!!」


いきなり、目の前のオトコが、私の後ろの塀壁に手をついた。


「無視すんなよな?」

「……」


佐々くん程はないけど、それでも私なんかより、ずっと背は高い。


ジワリ…
ジワリ…

薄ら笑いを浮かべながら、上から覆いかぶさるように、迫ってくる。


「イイながめ。ねえ、何カップ?胸でかいよね」

「やだっ!」


胸の前で手を組んで、見えないように壁側に身をよじる。

気づくと、いつのまにか周囲を、5~6人のオトコ達にかこまれちゃってる。

隙間なく並んで壁みたい。


――しまったっ……


私のほうから道路が見えない。

逆もしかり。つまり、こっち側で何されても、外側からは見えない。


「い~い、にお~い」

「ちょっとっ…!人の頭に、顔押し付けてこないでよ!」


出来るだけ身を引くけど、後ろが塀で逃げようにも逃げられない。

どうしよう…
どうしよう…

これは、ホンキで、やばいかもしんない。


「ああ、そうだ!俺が何カップか調べてあげるよ」

「!?」


壁のオトコのひとりが、近づいてきたかと思うと、いきなり横から、私の両腕をひねり上げた。


「痛いっ!痛いってばっ!!やめ…っ」

ゴッ…!!


後頭部に鈍い痛みが走る。

口を塞がれて、壁に押さえつけられる。


「しぃ~~静かにしてろよ~」

「ん~んん~~っ!!」
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